S.N.G LAB. Blog

FEATURE 002 / 目的地より、途中を覚えている。

 

出かけるときには、だいたい目的地があります。

あそこへ行こう。
あれを見よう。
何時までには着こう。

ナビに目的地を入れて、あとはそこへ向かう。

なのに、しばらく経ってから思い出すのは、目的地とは関係のない景色だったりします。

途中にあったもの。

福岡県北九州市、門司港駅。

ホームを歩く人。

これからどこかへ向かう人もいれば、帰ってきた人もいる。

同じ場所にいても、たぶん目的地はみんな違います。

駅って、考えてみれば不思議な場所です。

ほとんどの人にとって、ここにいること自体が目的じゃない。

どこかへ行く途中に、少しだけ同じ場所にいる。

それだけです。

山口県宇部市、琴崎八幡宮。

夏になると、たくさんの風鈴が並びます。

風が吹くたびに音がして、また静かになる。

せっかく来たのだから、境内を見て、お参りして。

たぶん、それが正しい楽しみ方。

でも、ふと横を見ると。

カブトムシがいました。

……そっちも気になる(笑)

予定になかったものに足を止める。

出かけた日の記憶って、案外こういうものでできているのかもしれません。

ここがどこだったのか、分かりません。

写真は残っているのに、場所が思い出せない。

いつだったのか。

何をしに行ったのか。

前後に何をしていたのか。

そこまで曖昧なのに、この瞬間だけは残っている。

だったら、それでいいような気もします。

場所を記録するためだけなら、もっと分かりやすいものを残せばいい。

建物だったり、看板だったり。

でも実際に残っているのは、

誰かの仕草だったり、
足元だったり、
そのとき差していた光だったりする。

何年か経つと、そっちの方が妙に懐かしかったりします。

帰り道も、まだ途中。

福岡市、JR竹下駅。

もう暗くなった時間。

目的地で過ごした時間が終わって、あとは帰るだけ。

……のはずなんですが。

帰り道に見たものまで、その日の記憶に混ざっていきます。

行きと帰りで、同じ景色が違って見えることがあります。

たぶん変わったのは、景色の方じゃない。

その日一日ぶん、こちら側に何かが増えただけです。

目的地には、ちゃんと着いた。

見たかったものも見た。

それでも後になって思い出すのは、

ホームだったり、
風鈴の音だったり、
一匹のカブトムシだったり。

名前も分からない場所だったりする。

車で出かけた先には、車以外のものもあります。

だから、この場所ではたまに、

そんな話も残していこうと思います。

まあ、たまにはいいでしょう。